覚悟と瞑想 ― 仏教における「覚悟」の本当の意味とは何か
「覚悟を決めよ。そこからすべてが始まる」
― 仏教における“覚悟”は、単なる意志の強さを超えた、魂の態度である。
私たちは日常において、「覚悟を決める」という言葉を軽く使いがちです。しかし、この言葉の背後には、実は非常に深い仏教的・形而上学的意味が潜んでいます。
特に瞑想（サマタやヴィパッサナー）の実践において、この「覚悟」という概念は、入り口であり、同時に悟りへの鍵でもあるのです。
覚悟がなければ、瞑想は始まらない
瞑想を試みると、多くの人が最初に感じるのは「落ち着かない心」でしょう。呼吸に集中しようとしても、思考が止まらず、感情が浮かび、雑念が押し寄せる。それでも座る意味とは何か？
ここで必要なのが 覚悟 です。
「私は今、この命の真相と向き合う」
「自我の抵抗があっても、私は静けさへ入る」
このような決断があって初めて、瞑想は真の実践となり得るのです。覚悟とは、単なる「やる気」や「根性」ではありません。
自己の存在を超える次元への開放を受け入れる態度です。
覚悟することで初めて「実行」が可能になる
仏教で説かれる「発菩提心（ほつぼだいしん）」――これは、悟りに向かって歩む決意を意味します。
それは、ある意味で「この人生でいかなる苦も超えて真理に至る」という究極の覚悟とも言えます。仏教における修行、瞑想、戒律の実践、すべてはこの覚悟があってこそ成り立つのです。覚悟とは、行動の根であり、迷いを断ち切る“剣”のようなものです。
「覚悟」という言葉が示すもう一つの意味 ―「覚りへの扉」
興味深いのは、「覚悟」の漢字です。
- 覚（さとる） … 仏教における「悟り」を意味する言葉。
- 悟（さとる） … より深いレベルの理解、無明を超えた気づき。
つまり、「覚悟」とは “悟りを覚えること”の宣言 であり、「覚悟」自体がすでに「悟り」へと向かう行為だと言えます。
覚悟をした瞬間、私たちは小我（エゴ）を越えようとする“内なる仏”の声に従い始めるのです。
そしてこのとき、はじめて瞑想は「心を静める技法」から「意識の変容」へと進化するのです。
結論：覚悟することは、悟りの最初の一歩である
現代人にとって「瞑想」や「マインドフルネス」は自己ケアやストレス軽減の手段として広まっています。しかし、仏教的な瞑想はそれを遥かに超えたものです。
それは「命とは何か」を問う、覚悟の旅路です。
- なぜ私は生きているのか？
- 苦しみはなぜ起こるのか？
- 私とは誰か？
この問いに真剣に向き合うには、「覚悟」が必要です。そして、その覚悟の先に、「悟り」の兆しが現れ始めるのです。
補足：高次元的視点からの「覚悟」
覚悟とは、単に精神的な決断ではなく、波動的な転換点でもあります。
それは、カルマの因果を超え、非二元の世界（アドヴァイタ）へ入る入り口でもある。
仏教における「無我」やチベット密教の「ゾクチェン」においても、自己存在の本質的空性を観るためには、自己という幻想を明け渡す覚悟が必要です。それはまさに、存在の構造そのものを手放す行為なのです。
最後に ― あなたは覚悟して座っているか？
瞑想において、最も大切なのは「姿勢」ではなく「態度（アティチュード）」です。
仏陀が菩提樹の下で成道したように、私たちもまた、自分の中に菩提樹を立て、「この場所で真実に至る」と決める瞬間が必要なのです。その瞬間から、本当の意味での瞑想が始まります。
覚悟すること。それは、目を閉じて世界を見る行為である。
個人的後記
何事も覚悟して決断しないと行動には至らない。
だらだらと過ごしてると仕事や家事を後回しになったりめんどくさいという迷いや煩悩が生じる。
そこを覚悟して決めて行動する事が悟りへの一歩であるというのが簡単なはなしである。
瞑想するしないでは大きい差である。
覚悟しないとなかなか瞑想しなくなる。
普段から覚悟することで瞑想状態をキープまたは日常化習慣化することができるのである。
つまり瞑想できないとかあらゆる事がめんどくさいとかは覚悟が足りないということなのである。
迷いや煩悩を自覚して悟る。すなわち仏教用語の覚悟である。
仮に全てを覚悟や観念できたとしたら、それはワンネスや悟りとなるだろう。
全てを覚悟しているからこそ全てを受け入れられるから即ち自由であるからだ。